Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale

Album9:  いわゆる,赤Elmar(赤エルマー)50mmF3.5,某中古カメラ店で素人レストアで傷だらけで無限遠がまったく外れていた個体を捨て値で引き取った。

自分もまったくの素人だが,分解してピントの外れたレンズのレストアは,ロシアンレンズでたびたび経験していたので,直せる確信はあった。バラバラにして組み立てる際に,各エレメントのねじ込みを合わせる位置が少しずれただけでまったくピントがこない症状がでてしまう。根気よく何度も何度もねじ込んで,奇跡を待てばよい。いや,レンズ愛の度合いによっては治ることもある。

外観も汚れた個体だったが,クリーニングしていくうちに,絞り表示の文字が,黒ではなく赤に見えてきた。もしかして,赤Elmar? 無知な前任者が無理やりレンズを外そうとしたため,Leitz Elmar の文字のところにザックリと傷が入ってしまっていた。なんという無知な暴挙。貴重な文化財にこんなことをするのは許せない。クラシックレンズが銭にしか見えない輩だったのだろうか。悲しすぎる。

 

クラシックElmar の繊細な解像力は,デジタル時代だからこそ,非常に魅力を感じる。

ただ,デジタル画像の編集だと,まったくエルマーの味が失われてしまうので,その加減が難しい。

Photohitoに最初にアップした画像は,エルマーの銀塩でのイメージを意識してかなり軟調にしていたのだが,別のPCで見たら黒のしまりのない眠い画像すぎたので,やや黒をしめて再アップ。

デジタルは画像編集でいくらでも修正できてしまうので銀塩と違って邪道,という見方もあるかもしれないが,印画紙へのモノクロプリントのプロセスは,デジタル画像編集と何ら変わりないと思う。熟練したプリンターであれば,デジタル画像編集をはるかに超えたハイレベルなイメージのプリントが可能だ。自家プリントの難しい銀塩カラープリントと違って,モノクロ写真の完成には,プリンターの技量をぬいて語ることはできないと思う。

 

だから,デジタル時代のモノクロ写真において,PC上でのイメージ編集に,邪道云々をいうのは可笑しな話だと思う。大事なのは,モノクロプリントのトーンについて,銀塩での印画紙プリントでの(できればバライタ紙)経験があったり,いまではそれも難しいので,写真展等で本物のモノクロプリントに触れたり,ということになると思う。

偉そうに語ってしまった(汗)。

ともかく,エルマーはデジタル時代だからこそ,モノクロの場合は特に,その特徴が生きてくるレンズだと思う。